一般社団法人日本研究皮膚科学会

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学会について

理事長挨拶

理事長 名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学 森田 明理

 2023年5月の理事会において日本研究皮膚科学会(Japanese Society for Investigative Dermatology, JSID)の理事長に選出して頂きました。大変な重責に身の引き締まる思いですが、微力ながらJSIDと日本の皮膚科研究の発展のために尽力したいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 椛島健治前理事長が会頭として2023年5月に東京で開催された国際研究皮膚科学会(International Societies for Investigative Dermatology; ISID 2023)は、40カ国以上から2500名以上の参加者と1800以上の演題があり、大成功裡に終了しました。ISIDは、前身のIID (International Investigative Dermatology) を母体にしつつも真に全世界的な学会へ発展することを目指して、その第1回を日本で開催することができました。本学会の運営に携わった一人として、会員ならびに参加者の皆様に厚く御礼を申し上げます。また、共同ホストとしてご協力頂いた韓国研究皮膚科学会(KSID)、アジア・オセアニアの台湾研究皮膚科学会(TSID)、オーストラリア研究皮膚科学会(ASDR)、中国研究皮膚科学会(CSID)、シンガポール研究皮膚科学会(SRSS)、さらにアメリカの研究皮膚科学会(SID)とヨーロッパ研究皮膚科学会(ESDR)、ならびにスポンサー頂いた各団体にも感謝を申し上げたいと思います。特に、ISIDの国際コミッティー、国内の運営委員をはじめとする多くの皆様の多大なお力添えなしには成功に導くことはできませんでした。ちなみに、ISIDは5年ごとに開催され、アジア、ヨーロッパ、アメリカの順に開催されることになっていますので、次回のアジアでの開催は15年後(2038年)になります。
 ISID2023では、日本の皮膚科ならびに関連分野のサイエンスの底力を世界に示すことができたと思います。しかし、このサイエンスの力は、これまで長年にわたって先輩達が培ってきて下さったいわば「貯金」であり、「過去の遺産」ということもできます。近年、アカデミアの衰退や大学の疲弊が叫ばれており、特に若い世代の研究離れが懸念されています。これからの日本の皮膚科研究をさらに発展させていくためには、若い世代に研究の世界に触れてもらい、目の前の疑問を解き明かす楽しさや真実を発見した時の高揚感と喜びを体験してもらいたいと思います。まずは、年次大会をぜひ覗いてみて下さい。また、JSIDが毎年企画している若手のためのセミナーのあおば塾やきさらぎ塾に参加してみて下さい。
 JSIDは、皮膚科を母体としてスタートした学会ではありますが、皮膚科領域の研究に関わる多分野の人たちが交流できる学会を目指しています。近年の科学技術や研究手法の進歩に伴い、研究のあり方は大きな変貌を遂げており、今後は多分野にまたがるボーダーレスな共同研究がますます必要とされて来ています。JSIDは「開かれた学会」として、学会内のダイバーシティを推進し、そのような共同研究を生み出す場になりたいと考えています。
 ISID2023は、新型コロナ感染症によって分断された世界との繋がりを再構築する絶好の機会ともなりました。研究には国際的な視野や交流も非常に重要です。日本の研究皮膚科が世界から孤立し取り残されることのないよう、国際化もこれまで以上に積極的に推進して行きたいと思っています。

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